カーポートは建物じゃない?確認申請と建ぺい率、付ける前に確かめること|二級建築士が解説

カーポートを付ける予定の駐車スペースを指さして相談する夫婦のイラスト 住まいのこと

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「屋根と柱だけだから、建物じゃないですよね?」

カーポートの相談を受けると、よくこう言われます。もうひとつ多いのが、「近所の家も付けているから、うちも大丈夫でしょう」という言葉です。

リフォームの工務店に勤めていると、カーポートの相談は珍しくありません。そのとき「住んでいる地域や建てるカーポートの大きさによっては、確認申請という手続きが必要になります」とお伝えすると、驚かれることがよくあります。

この記事は「カーポートは付けないほうがいい」という話ではありません。付ける前に自分の家の条件を確かめておけば、あとで困ることを減らせる、という話です。二級建築士として、法律の決まりと、現場でよく受ける相談を整理しました。最後に、台風で屋根パネルが飛んだ・割れたという相談の話も書きます。

カーポートは、法律上は「建築物」です

建築基準法では、「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの」を建築物としています(第2条第1号)。

カーポートは、地面に柱を立てて屋根をかけたものです。壁がなくても、屋根と柱があれば、この定義に当てはまります。つまり「屋根だけだから建物じゃない」は、法律上の扱いとは違います。

建築物である以上、カーポートにも建築基準法の決まりがかかります。家が建っている敷地にあとから付ける場合、カーポート自体は「新築」です。ただし確認申請の手続きでは、敷地全体で見て「増築」として扱われるのが一般的です。この扱いが、確認申請が要るかどうかに関わってきます。

確認申請が要るかどうかは「地域」と「広さ」で変わる

確認申請は、工事の前に、計画が法律に合っているかを役所や指定確認検査機関に確認してもらう手続きです。家のある敷地にあとからカーポートを付ける(増築として扱われる)場合、要るかどうかは主に次の2つで分かれます(建築基準法第6条第2項)。

  • 防火地域・準防火地域の中:広さにかかわらず、確認申請が必要
  • それ以外の地域:増築する部分の床面積の合計が10㎡を超えると必要(10㎡以内なら不要)

10㎡かどうかは、屋根の面積ではなく、建築基準法上の「床面積」で判断します。床面積は原則として柱や壁の中心線で囲まれた範囲で測りますが、カーポートの形によって算定のしかたが変わることがあります。実際の面積は、業者や確認検査機関に確認してください。

なお、都市計画区域の外など、そもそも確認申請の対象にならない場所もあります。また、家の新築工事と一緒に付ける場合は、手続きが変わることがあります。自分の敷地がどれに当たるかは、依頼する業者や、自治体の建築指導課で確認できます。

「確認申請が要ります」とお伝えしたときに驚かれるのは、そもそも手続きがあることを知らないうえに、そのぶん別に費用がかかるからです。いくらかかるかは、業者や自治体、敷地の条件で変わります。見積もりの段階で聞いておくと安心です。

確認申請が要らなくても、建ぺい率は守る必要がある

ここは、誤解されやすいところです。

確認申請が要らない場合でも、建ぺい率などの基準は守る必要があります。確認申請は「チェックを受ける手続き」です。手続きが要らないからといって、決まりを守らなくていいわけではありません。

建ぺい率は、敷地の面積に対する建築面積(建物を真上から見た面積)の割合で、上限は地域ごとに決まっています。カーポートも建築物なので、原則として建築面積に算入されます。

そのため、家の建築面積で建ぺい率の上限近くまで使っている敷地では、カーポートを付ける余地がほとんど残っていない、ということもあり得ます。

開放性の高いカーポートには緩和がある

一方で、壁がなく開放的なカーポートには、緩和の仕組みがあります。国が「高い開放性がある」と定めた次の4つの条件をすべて満たすと、カーポートの端から1m以内の部分は、建築面積に入れなくてよいというものです(建築基準法施行令第2条第1項第2号、平成5年建設省告示第1437号)。

  • 外壁のない部分が、連続して4m以上ある
  • 柱の間隔が2m以上ある
  • 天井の高さが2.1m以上ある
  • 地階を除く階数が1である
4つの条件を満たすカーポートは、端から1m以内を建築面積に算入しないことを示す図

ただし、緩和が使えるかどうかは、製品の形や置き方で変わります。「このカーポートなら緩和で入るはず」と決めつけずに、依頼する業者に建ぺい率の計算まで確認してもらってください。

「近所も付けているから大丈夫」だけでは判断できない理由

よく言われる言葉ですが、近所の家とあなたの家は、条件が同じとは限りません。

  • 用途地域や建ぺい率の上限(道路をはさんで変わることもあります)
  • 防火地域・準防火地域かどうか
  • 家の建築面積(敷地に対して、家がどれくらいの広さを使っているか)
  • 付けるカーポートの大きさや形

このうちひとつでも違えば、答えが変わることがあります。近所の家だけで判断せず、自分の敷地の条件を確かめてください。

台風に備えて、風への強さも確かめる

法律の話とは別に、現場でよく受ける相談がもうひとつあります。台風のあとの「カーポートの屋根パネルが飛んだ」「割れた」という相談です。

カーポートの屋根は、ポリカーボネートなどの板をはめ込んだものが多く、強い風を受けると、外れたり割れたりすることがあります。飛んだパネルが、自分の車や近所の家に当たることもあり得ます。風への強さは製品によって違うので、住んでいる地域に合った仕様を選ぶことが大切です。付ける前に、次のことを確かめておくと安心です。

  • その製品が、どれくらいの強さの風を想定しているか(カタログに書いてあることが多いです)
  • 住んでいる地域で想定される風の強さに合っているか
  • 補強用の柱(サポート柱)など、あとから補強できる選択肢があるか

台風で壊れたとき、火災保険の「風災」で補償される場合があります。補償の範囲は契約によって違うので、火災保険で補償される例・されない例も参考にしてください。また、台風のあとは「屋根の状態が悪いですよ」という訪問が増えることがあります。そのときの確かめ方は訪問業者に言われたときの確認5つにまとめています。

カーポートを付ける前に、業者に確かめてほしい3つ

  1. 確認申請が要るか。要るなら、手続きを誰がして、費用と日数がどれくらいかかるか
  2. 建ぺい率に余裕があるか。緩和を使う前提なら、その根拠も
  3. 風に対してどんな仕様か。想定している風の強さと、補強の選択肢

この3つにきちんと答えてくれるかどうかは、業者を選ぶときの目安にもなります。カーポートは本体の価格で比べがちですが、手続きや補強まで含めた見積もりで比べないと、あとから金額が変わることがあります。見積もりの見方はリフォームの見積もりが妥当か見分ける5つの視点で詳しく書いています。

外構の工事は、家を建てた会社以外にも頼めます。何社かに同じ条件で見積もりを取ると、手続きや補強についての考え方の違いも見えてきます。

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まとめ|カーポートは付ける前に「確認申請・建ぺい率・風」

  • カーポートは屋根と柱があるので、建築基準法上の建築物
  • 家のある敷地にあとから付けるカーポートは、確認申請では一般に増築。防火・準防火地域なら広さにかかわらず、それ以外でも床面積の合計が10㎡を超えると確認申請が必要
  • 確認申請が要らなくても建ぺい率は守る。4つの条件を満たすカーポートには、端から1mを算入しない緩和がある
  • 「近所も付けている」だけでは判断できない。自分の敷地の条件を確かめる
  • 台風に備えて、風に対する仕様と補強も確かめる

カーポートは、付けてしまえば毎日使う便利なものです。だからこそ、付ける前に「確認申請・建ぺい率・風」の3つを業者に聞いてみてください。この記事は一般的な情報です。自分の敷地での判断は、依頼する業者や、自治体の建築指導課に確認してください。

わらじ@家事パパ

30代、家事・育児・仕事の三足のわらじを履く共働きパパ。本業はリフォーム専門の工務店に勤める二級建築士で、築年数の経った住まいの改修現場に携わっています。家事ラクグッズから住まいのメンテナンスまで、暮らしをちょっとラクにする話をパパ目線でお届けします。

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