昔の家と今の家は何が違う?構造から設備まで、リフォームの現場で見る違い|二級建築士が解説

手入れされた昔ながらの木造住宅と今どきの住宅を前に話し合う夫婦のイラスト 住まいのこと

※本記事にはプロモーション(広告)が含まれています。

実家を直そうか、中古の家を買おうか。そんなときに気になるのが、「昔の家と今の家は、何が違うのか」ではないでしょうか。

結論から言うと、違いの多くは、見た目ではなく壁や床の中にあります。リフォームの工務店に勤めていると、壁や床をはがしたときに「図面や見た目からは分からなかったこと」が出てくる場面に立ち会います。

この記事では、二級建築士として、家の決まりが変わってきた流れと、現場で見てきた違いを、構造から設備まで順番に整理しました。昔の家が悪いという話ではありません。建てた時代の決まりや技術で建てられている、ということです。

まず、家の決まりが大きく変わった4つの年

昔の家と今の家の違いには、その時代ごとの建築ルールの変化が大きく関係しています。住宅に関わる大きな変わり目を4つ挙げます。

年変わったこと
1981年6月耐震基準が変わる(それより前の基準は「旧耐震」と呼ばれる)
2000年6月木造住宅の耐力壁の配置や、柱・筋かいの接合部などの決まりが明確になる
2003年7月シックハウス対策で、居室のある建物には原則として機械換気の設備が必要になる
2025年4月新築住宅は原則すべて、省エネ基準への適合が義務化される

(国土交通省の公表資料をもとに整理)

住宅の決まりが大きく変わった4つの年の年表

注意したいのは、どの決まりが当てはまるかは、完成した年だけでは判断できないことです。制度によって基準になる時点が違い、耐震の基準は建築確認を受けた時期、シックハウス対策や省エネ基準は工事に着手した時期が基本になります。建てた時期が境目に近いときは、確認済証などの書類で確かめてください。

また、同じ築年数でも、家の状態は一棟ずつ違います。手入れや改修がされてきた家もあるので、築年数だけで良し悪しがすべて決まるわけではありません。

基礎と骨組み|図面と実際が違うこともある

家の揺れへの強さには、基礎、柱や梁、揺れに耐える壁、それらをつなぐ金物などが大きく関わります。1981年6月の新耐震基準より前の建物は「旧耐震」と呼ばれ、2000年6月の改正より前の木造住宅では、いまにつながる耐力壁の配置や接合部などの決まりが、まだ明確になっていない部分がありました。

国土交通省の資料によると、2016年の熊本地震で大きな被害が出た益城町中心部の調査では、旧耐震の建物に加えて、1981年6月以降の新耐震で建てられた木造住宅のうち2000年以前のものにも、倒壊などの被害が見られました。

そして現場で見てきたことで、いちばん伝えたいのがこれです。図面では筋交いが入っていることになっているのに、壁を開けてみたら入っていなかった、ということがありました。筋交いは、壁の中に斜めに入れて、揺れに耐える役目をする部材です。

つまり、図面があるからといって、そのとおりに建っているとは限りません。揺れへの強さが気になるなら、図面を見るだけでなく、耐震診断で実際の家を調べてもらうのが確かめる方法です。築年数と耐震の関係は、築40年の家は地震で大丈夫?で詳しく書いています。

断熱|入っていない、効いていないことがある

今の新築住宅は、2025年4月から原則すべて省エネ基準への適合が義務になりました。一方、古い住宅の中には、いまほど断熱が求められていなかった時代に建てられたものがあります。

リフォームで天井や壁を開けると、次のようなことがありました。

  • 2階の天井に、断熱材が入っていなかった
  • 雨漏りで、断熱材が水を吸ってしまっていた

2階の天井に断熱材がないと、屋根で受けた熱が部屋に伝わりやすく、夏の2階が暑くなる原因のひとつになります。また、グラスウールなどの断熱材は、水を吸うと本来の働きをしにくくなります。断熱材が濡れていたということは、そこまで水が回っていたということでもあります。

断熱が足りない家は、冬に結露しやすいこともあります。結露については結露は拭いても止まらない?にまとめています。

窓|1枚ガラス、大きな窓、家の角の窓

窓は、昔の家と今の家で違いが分かりやすいところです。私が古い住宅のリフォーム現場で見てきた例には、次のようなものがあります。

  • 1枚ガラス(単板ガラス)の窓
  • 窓が大きく、そのぶん壁が少ない
  • 家の角に窓がある
  • 家がゆがんで、窓のまわりにすき間ができている

1枚ガラスの窓は、熱が出入りしやすく、冬は寒さや結露の原因になりやすい場所です。窓を替えずに内側にもう1枚足す方法もあるので、内窓は効果ない?も参考にしてください。

窓が大きく壁が少ないことや、家の角に窓があることは、寒さだけでなく揺れへの強さにも関わることがあります。家の角まわりは、揺れに耐える壁の配置を考えるうえで重要な場所のひとつです。窓の多さや位置は、断熱と耐震の両方の目で見る必要があります。

また、家がゆがんで窓のまわりにすき間ができていると、すき間風の原因になります。サッシの交換を考えるときは、サッシ交換は簡単?で書いたように、外壁との取り合いも関わってきます。

水まわり・配管|見えないところに傷みが隠れていることもある

水まわりは、毎日使うのに、傷みが見えにくいところです。現場では、次のようなことがありました。

  • 在来浴室(タイル張りのお風呂)の下で、シロアリの被害があった
  • 使っていなかった蛇口から、さびが出てきた

在来浴室は、ユニットバスに替えるときに床や壁の下の状態が分かることが多く、そこで傷みが見つかると工事の内容が変わります。詳しくは在来浴室はユニットバスにできる?に書いています。

使っていない蛇口からさびが出てくるのは、配管の内側がさびているサインのひとつです。配管は壁や床の中を通っているので、見た目では状態が分かりません。

また、2003年7月1日より前に着手した工事の住宅では、いまのシックハウス対策による機械換気設備の設置義務が当てはまっていないものがあります。いまの24時間換気のような設備がない住宅では、今の暮らし方に合わせて、換気の方法も確かめておくとよいでしょう。

見た目では分からないから、「開けて初めて分かることがある」前提で考える

ここまでの違いは、どれも外から見ただけでは分かりにくいものです。だからこそ、昔の家を直したり買ったりするときは、次の順番で考えるのがおすすめです。

  1. 建てた時期で、見当をつける:上の4つの年のどこに当たるか
  2. 気になるところは、調べてもらう:耐震診断や床下の点検など
  3. 見積もりで、「開けてから追加になるかもしれないこと」を聞いておく

3つ目は、リフォームの見積もりでとくに大事です。壁や床を開けてみて、筋交いがない、断熱材が濡れている、シロアリの被害がある、といったことが分かれば、工事の内容も金額も変わります。見積もりの見方はリフォームの見積もりが妥当か見分ける5つの視点に、中古住宅を買う前に確かめたいことは中古住宅の内見チェックリストにまとめています。

何社かに現地を見てもらうと、「開けてみないと分からないところ」をどう考えているか、会社ごとの違いも見えてきます。

リフォームを安心に安く|リフォーム比較プロ

まとめ|昔の家と今の家の違いは、見た目だけでは分からない

  • 家の決まりが大きく変わったのは、1981年6月(耐震)・2000年6月(木造の耐力壁の配置や接合部)・2003年7月(換気)・2025年4月(省エネ)
  • 基礎と骨組みは、図面どおりとは限らない。図面にある筋交いが、実際には入っていなかったこともある
  • 断熱材は、入っていない・水を吸って効いていないことがある
  • 窓は、1枚ガラス・大きな窓・家の角の窓・ゆがみによるすき間。断熱と耐震の両方に関わる
  • 水まわりは、在来浴室の下のシロアリや、配管のさびなど、見えないところで傷んでいることがある

昔の家を直すにしても、買うにしても、「開けて初めて分かることがある」前提で考えておくと、あとで慌てずにすみます。この記事は一般的な情報です。自分の家の判断は、実際に家を見た専門家に確認してください。

わらじ@家事パパ

30代、家事・育児・仕事の三足のわらじを履く共働きパパ。本業はリフォーム専門の工務店に勤める二級建築士で、築年数の経った住まいの改修現場に携わっています。家事ラクグッズから住まいのメンテナンスまで、暮らしをちょっとラクにする話をパパ目線でお届けします。

わらじ@家事パパをフォローする
住まいのこと
シェアする
わらじ@家事パパをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました