給湯器は壊れる前に交換したほうがいい?寿命より「お湯が止まる数日」で決める|二級建築士が解説

戸建ての外壁に付いた給湯器を、少し離れたところから見上げて考えている男性の水彩イラスト 住まいのこと

※本記事にはプロモーション(広告)が含まれています。

「給湯器、そろそろ10年ですよね。壊れる前に交換しておきませんか」

そう言われて、迷ってこの記事にたどり着いた方が多いと思います。調べると「給湯器の寿命は10年」「壊れる前の交換がおすすめ」と書いてあります。ただ、書いているのはたいてい交換を請け負う側です。

先に、いちばん正直なところを書きます。その給湯器があと何年持つのかは、現場の人間にも分かりません。来月壊れるかもしれませんし、そのまま5年10年動くこともあります。私は工務店でリフォームの仕事をしていますが、お客さんに「あとどれくらい使えますか」と聞かれて、はっきり答えられたことがありません。

だからこの記事では、寿命を当てにいくのをやめます。代わりに「お湯が止まる数日に、その家が耐えられるかどうか」で考えます。そこだけは、住んでいる人が自分で判断できるからです。

結論|寿命は読めないので、判断は「お湯が止まる数日」のほうで決めます

結論から書きます。

  • 数日お湯が止まっても何とかなる家なら、壊れてからの交換で足りると思います
  • それが厳しい家なら、動いているうちに替えてしまってかまいません。無駄な買い物をしたことにはならないと思います

壊れる前に交換したほうがいい家は、たしかにあります。ただ、それは「10年経ったから」ではなく、壊れたあとに数日お湯が使えないことが困る家です。

「10年経ったから」で決めるのではなく、止まった数日をどう過ごせるかで決めるという考え方です。小さい子どもがいる家と、大人だけの家では、同じ数日でも重さがまったく違います。

給湯器の替えどきの判断図。あと何年持つかは分からないので、お湯が止まる数日に耐えられるかで、壊れてからの交換と早めの交換に分かれることを示した図
決めているのは年数ではなく、その家の事情です

「10年で交換」と言われますが、あと何年かは現場でも分かりません

給湯器の交換時期として「10年」という数字はよく出てきます。ただ、これはその年数で壊れるという意味ではありません。標準的な使用条件のもとで安全上支障なく使えるように、メーカーが設計のうえで設定している期間(設計上の標準使用期間)で、機種によって設定は異なります。補修部品を持っている期間は、これとはまた別に決められています。

実際にお客さんの家で見ていると、同じくらいの年数でも状態はばらばらです。使い方も、設置場所も、家族の人数も違います。年数だけを見て「あと何年もちます」とは、私には言えません。

私自身は、お客さんに聞かれたら「壊れてからでもいいと思いますよ」と答えることが多いです。まだ動いているものを、年数だけを理由に交換してもらうのは気が引けるからです。

ただし、これだけは理解しておいてほしいことがあります。

壊れてからにすると、交換までお湯が止まる時間を引き受けることになります

給湯器は、だんだん弱っていって最後に止まる、という壊れ方ばかりではありません。ある日いきなり止まることがあります。

そして、その日のうちに新しいものが付くわけではありません。早ければ2〜3日で取り換えられることもありますが、在庫や業者の予定によって変わります。ここが「壊れてからでいい」と言うときの、いちばん大事な但し書きだと思っています。

つまり「壊れてから」を選ぶということは、お湯の出ない数日を引き受けるということです。冬なら、その数日はかなりこたえます。

ここを理解したうえで選ぶなら、私は壊れてからで問題ないと思います。逆に、読んでいて「それは無理だな」と感じたなら、その時点で答えは出ています。動いているうちに替えていいと思います。

壊れた日に効いてくるのは、値段よりも「在庫」です

ここからは、壊れてからを選んだ場合の話です。止まる日数を短くできるかどうかは、在庫の有無に大きく左右されます。

交換は基本、いま付いているものと同じ号数に合わせます

給湯器には号数があります。交換のときは、いま付いているものと同じ号数を基本に考えます。その家がいま使っている量に合っているからです。

ただし、実際に交換できる機種は、設置のしかたや配管などの条件によって変わります。号数が同じならどれでも付く、という話ではないので、そこは現地で見てもらうことになります。

ということは、壊れたときに探すのは「給湯器なら何でもいい」ではなく、いま付いているものに合う機種です。その手がかりになるのが号数で、ここが在庫の話につながります。

号数を見直すかどうかを考えるのは、家族の人数が変わるときです。親世帯や子世帯と同居することになった、逆に子どもが独立して人数が減った、というように、お湯を使う量そのものが変わるときです。これは後半でもう一度触れます。

在庫の状況は、業者によってまったく違います

同じ地域の業者でも、そのとき手元にどの号数を持っているかはばらばらです。ちょうど在庫があれば数日で付きますし、無ければ取り寄せになります。

だから、お湯が止まって困っているときに1社だけに聞いて「入荷待ちです」と言われて、そのまま待つのはもったいないと思います。別の業者なら在庫を持っていることがあります。

やることは、複数の業者に「この号数の在庫はありますか」と聞くこと。これだけです。値段の比較というより、いつ付けられるかの比較になります。見積もりの見方そのものについてはリフォームの見積もりが妥当か見分ける視点のほうにまとめています。

「何日で付きますか」に、はっきり答えられない理由

お客さんからよく聞かれるのが「何日で付きますか」です。これも、正直なところその時になってみないと分かりません。

在庫があれば早いですし、無ければ待ちます。また、冬場は給湯器の交換相談が重なることもあり、時期によって事情が変わります。

「必ず何日で付きます」と言い切る説明を見かけたら、そこは少し割り引いて聞いていいと思います。

予防のための交換が、納得しやすくなるタイミング

ここまで「壊れてからでいい」と書いてきましたが、先に替えておくのが自然な場面もあります。ほかの工事と一緒にやるときです。

たとえば浴室の工事をするときに、給湯器がかなり古ければ、交換も見積もりに入れてもらうことがあります。どうせ職人が入る日ですし、お風呂が使えない期間もそこにまとめられます。工事のあとしばらくして給湯器だけ壊れると、また別の日に業者を呼ぶことになります。

浴室の工事そのものについては在来浴室をユニットバスにするときの話に書いています。あわせて考える場面は多いと思います。

逆に言うと、何の工事の予定もない家に、年数だけを理由に交換を勧める話は、少し立ち止まって聞いていいと思います。訪問で来る営業の見分け方は訪問業者に言われたときの確認のしかたと考え方が同じです。

費用が動きやすいのは「同じものに戻すとき」より「変えるとき」です

リフォームの記事では、たいてい「思ったより金額が上がる分岐」を書きます。外壁なら目地、窓なら外壁の解体、浴室なら土間と配管、というふうにです。

給湯器の場合、いま付いているものと同じ号数に戻すだけなら、その分岐はあまりありません。金額が大きく動く要素が少ないので、ここは構えなくていい部分だと思います。

上がるとすれば、「同じものに戻さないとき」です。3つあります。

給湯器の交換で金額が動く場面をまとめた図。同じ号数に戻すときは動きにくく、運搬に人手が要るとき・号数を変えるとき・種類を変えるときに金額が乗ることを示した図
見積もりが思ったより高いときは、機器の値段ではなく「変えた分」を見てみてください

①そこまで運べないとき

給湯器は、設置場所や搬入経路によって運び方が変わります。フェンスを越えないと入らない場所など、いつもより人手が要る家があります。人手が必要になれば、そのぶんは金額に乗ります。

金額が想像より上がっていたときは、機器そのものではなく、そこまで運ぶ手間の話かもしれません。

②号数を変えるとき

前半に書いたとおり、交換は同じ号数を基本に考えます。号数を見直すきっかけになるのが、家族の人数が変わるときです。親世帯や子世帯と同居することになれば、お湯の使用量が増えるので、号数を上げることを検討します。逆に、子どもが独立して人数が減ったなら、いまの号数のままでいいのかを一度考えてもいい場面です。

この場合は機器が変わるので、同じものに戻す交換とは前提が違ってきます。同居の予定があるなら、壊れるより先に、そこを含めて相談しておくほうが早いと思います。

③種類そのものを変えるとき

ここは、ほかの2つとは金額の動き方が違います。たとえばエコジョーズのようなガス給湯器から、エコキュートに替える場合です。

エコキュートはタンクを設置するための基礎が必要です。既存のコンクリートがそのまま使えることもありますが、新たに基礎を作ることになる場合もあります。そのため、本体の価格だけでなく、基礎や搬入まで含めて見積もってもらう必要があります。「機器の価格差だけ見て決めたら、見積もりが思っていたのと違った」となりやすいのがここです。

種類を変えたい理由があるなら止めませんが、それは単純な機器の交換よりも、設置場所や基礎、搬入まで含めて考える工事だと思っておいたほうがいいと思います。急にお湯が止まった日に、その場で決める話ではありません。

異常を感じたときは、様子を見ないでください

ここまでの話は、静かに寿命が来る場合を前提にしています。

いつもと違う音がする、においがする、黒い煙が出る、お湯の温度が急におかしいといったときは、様子を見ずに使用をやめて、ガス会社か業者に連絡してください。給湯器の点検・修理・交換には、ガスや電気を扱う専門的な作業が含まれます。自分で分解せず、ガス会社やメーカー、専門業者に相談してください。

この記事に書いているのは、あくまで「まだ普通に使えているものを、いつ替えるか」の話です。

壊れる前に、今日やっておくといいこと

「壊れてからでいい」と言われても、そのまま何もしないと、壊れた日にあわてます。やっておくといいのは、ひとつだけです。

いま付いている給湯器を、スマホで1枚撮っておいてください。型番や号数が書かれたシールが本体に貼ってあります。それが読めるように撮っておけば、問い合わせるときの手がかりになります。

お湯が出なくなった日に、その写真をそのまま業者に送れます。「この号数の在庫はありますか」が、電話1本で聞けるようになります。寒い中で本体の裏側をのぞき込んで型番を読む、という手間がなくなるだけでも違います。

まとめ|替えどきは年数ではなく、耐えられる日数で決めます

  • あと何年持つかは、現場でも分かりません。来月かもしれませんし、5年10年動くこともあります
  • だから判断は「10年経ったか」ではなく、「お湯が止まる数日に耐えられるか」で決めます
  • 壊れてからにすると、交換までお湯が止まる時間を引き受けることになります。早ければ2〜3日、ただし在庫や業者の予定によります
  • 止まる日数に大きく関わるのが在庫です。同じ号数を持っている業者かどうかで変わるので、複数に聞いてください
  • 先に替えるなら、ほかの工事と一緒に考えるのは納得しやすいタイミングのひとつです

小さい子どもがいて、真冬に数日お湯なしはさすがに厳しい、という家なら、動いているうちに替えてしまってかまいません。それは急かされて替えるのとは違います。自分の家の事情で決めた交換です。

逆に、数日くらいなら何とかなるという家なら、まだ動いているものを慌てて替える必要はないと思います。そのときは、写真だけ1枚撮っておいてください。

わらじ@家事パパ

30代、家事・育児・仕事の三足のわらじを履く共働きパパ。本業はリフォーム専門の工務店に勤める二級建築士で、築年数の経った住まいの改修現場に携わっています。家事ラクグッズから住まいのメンテナンスまで、暮らしをちょっとラクにする話をパパ目線でお届けします。

わらじ@家事パパをフォローする
住まいのこと
シェアする
わらじ@家事パパをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました