結露は拭いても止まらない?結露しやすい家の特徴と、今日からできることの順番|二級建築士が解説

作業着とヘルメット姿の二級建築士が、結露した窓の前で窓枠のあたりを確認しているイラスト 住まいのこと

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毎年冬になると窓が濡れて、拭いても拭いても追いつかない。春になるとサッシの隅が黒くなっていて、掃除しても翌年また同じ場所に出てくる。

結露の相談で多いのは、この「毎年同じことを繰り返している」という状態です。

調べると出てくるのは、拭き取りグッズの紹介や「こまめに換気しましょう」という話です。そうでなければ、「高気密高断熱の家にしましょう」という家づくりの話になります。前者は起きたあとの対処で終わっていて、後者は建て替えが前提になっています。今住んでいる家をどうするか、という答えがあまり見当たりません。

この記事では、リフォーム専門の工務店で現場を見ている二級建築士として、結露を「今日からできること」と「家の話になること」に仕分けて整理します。自分の家がどちらの段階にいるのかが分かれば、次にやることが決まります。

結露は「湿気の量」と「表面の温度」だけで決まる

先に、いちばん大事なところを書きます。

空気は温度によって、含んでいられる水蒸気の量が変わります。温かい空気はたくさん含めますが、冷えると含んでいられる量が減ります。含みきれなくなった分が水になって出てくる、これが結露です。

つまり結露が起きるかどうかは、次の2つで決まります。

  • 部屋の空気にどれだけ水蒸気があるか(湿気の量)
  • その空気が触れる面がどれだけ冷たいか(表面の温度)

だから、結露への打ち手も2方向しかありません。湿気を減らすか、表面を冷やさないかです。

結露が起きる仕組みと打ち手の2方向を示した図。暖かく湿った室内の空気が冷たい窓ガラスで冷やされて水滴になる様子と、湿気を減らす対策・表面を冷やさない対策の2つを並べている

この2つに分けて考えると、自分の家で何をすべきかが整理しやすくなります。世の中の対策があれこれ並んで見えるのは、この2方向が混ざったまま並べられているからです。

拭き取りと換気だけでは繰り返す理由

ここで、掃除の位置づけがはっきりします。

拭き取りは、結露が起きたあとの水を取り除く作業です。湿気の量にも、表面の温度にも手を入れていません。だから翌日また同じ条件が揃えば、また同じところに水がつきます。悪いことではありませんし、放っておくよりずっと良いのですが、原因には触れていません。

換気は効くが、効き方に差がある

換気は「湿気を減らす」側の対策なので、方向としては合っています。実際に窓を開けて空気を入れ替えると、その場は改善します。

ただ、冬に窓を開け続けるのは現実的ではありません。短時間で閉めれば湿気はまた戻ります。そして換気で減らせるのは湿気の量だけで、冷たい面はそのまま残ります。もともと表面がかなり冷えている家では、換気だけで抑えきれないことがあります。

「換気しているのに結露する」という場合は、湿気側ではなく温度側に原因が寄っている可能性があります。

結露しやすい家の特徴

温度側の条件は、家によってかなり違います。表面が冷えやすい傾向のある家には、次のような特徴があります。

アルミサッシに単板ガラス(1枚ガラス)の窓

結露がいちばん分かりやすく出るのが窓です。アルミの枠に単板ガラスの組み合わせは、熱を伝えやすいため室内側の表面温度が下がりやすくなります。窓ガラスだけでなく枠(サッシ)まで濡れている場合は、この組み合わせが影響していることがあります。

断熱材が入っていない、または量が少ない世代の家

建てられた年代によって、断熱に関する考え方は変わってきています。古い家ほど壁や天井の断熱が薄い、あるいは入っていないことがあり、その場合は壁の表面も冷えやすくなります。

ただし、年代だけで決めつけることはできません。同じ年代でも仕様に幅がありますし、途中でリフォームされている場合もあります。

北側の部屋、日が当たらない面

日射を受ける面は昼間に温まりますが、北側は一日を通して温度が上がりにくくなります。同じ家の中でも、北側の部屋だけ結露やカビが出るというのはよくあることです。

使っていない部屋がある

暖房していない部屋は、当然ながら表面の温度が低いままです。そこに、暖房している部屋から湿気を含んだ空気が流れ込むと、冷たい面で結露します。結露が出ている場所と、湿気が発生している場所が違うのは、この形です。

窓以外で結露が出やすい場所

結露というと窓を思い浮かべますが、実際に困るのは窓以外であることも少なくありません。共通しているのは、冷えやすくて、空気が動かない場所です。

住宅の断面で結露が出やすい5か所を示した図。北側の窓まわり、押入れやクローゼットの奥、家具の裏側、部屋の隅、暖房していない部屋。共通点は冷えやすく空気が動かない場所
  • 押入れやクローゼットの奥:閉じたままで空気が入れ替わらず、外壁側の面が冷えている
  • 家具の裏側:壁にぴったり寄せていると、その部分だけ空気が動かない
  • 部屋の隅(角):2面が外に接しているため、平らな壁面より冷えやすい
  • 北側の窓まわりや、その下の壁:結露した水が下に落ちて溜まる
  • 使っていない部屋:暖房していないぶん表面温度が低い

毎年同じ場所にカビが出るという場合、その場所がここに当てはまっていないか確認してみてください。場所が毎年決まっているのは、その場所の条件が毎年同じだからです。掃除の頻度の問題ではありません。

今日からできること|湿気を減らす側

ここからが仕分けです。まずは工事をしなくてもできる、湿気の量を減らす側から。

24時間換気を止めない

24時間換気設備が付いている家では、スイッチが切られていることがあります。寒い、音が気になる、といった理由で止めてしまうと、湿気が出ていく経路がなくなります。まずは動いているかどうかを確認してみてください。給気口が閉じられていたり、ふさがれていたりすることもあります。

加湿のしすぎに気をつける

乾燥対策で加湿器を使っていると、湿気の量は当然増えます。加湿が悪いという話ではなく、結露が出ている家で加湿を強めると、条件が揃いやすくなるということです。湿度計を置いて、実際の数字を見ながら加減すると分かりやすくなります。

部屋干しは換気とセットで

洗濯物を室内で干せば、その水分は部屋の空気に移ります。冬は外に干せない日も多いので、やめるというより干す部屋の換気扇を回す、除湿機を使う、といった逃がし方をセットにするのが現実的です。

開放型の暖房器具を使っている場合

石油ストーブやガスストーブのうち、排気を室内に出すタイプ(開放型)は、燃焼にともなって水蒸気も出します。使っている家では、湿気の量がそのぶん増えます。

これらの器具は、結露の前に換気そのものが必要な機器です。取扱説明書に書かれた換気の方法を守って使ってください。

家具を壁から少し離す、押入れを開ける

空気が動かない場所を減らす、という考え方です。家具を壁から数センチ離すだけでも、その面の空気が動くようになります。押入れやクローゼットも、天気のよい日に開けておくと中の空気が入れ替わります。

お金がかからないわりに、場所が限定されている結露には効くことがあります。

ここから先は家の話|表面を冷やさない側

上のことをひととおりやっても変わらない場合、原因は温度側に寄っています。ここからは、住まい方では動かしにくい領域です。

目安として、次のような状態であれば、家の側の話として考えたほうが早いことがあります。

  • 加湿器を使っていないのに、窓が毎朝濡れている
  • ガラスだけでなく、サッシの枠や壁まで濡れている
  • 換気を回していても、特定の部屋だけ改善しない
  • 壁に触れると、部屋の空気よりはっきり冷たい
  • 毎年同じ場所にカビが出て、掃除しても翌年また出る

この段階では、拭き取りや除湿を増やしても追いつきにくくなります。冷たい面をなくすほうに手を入れないと、条件が変わらないためです。

ただし、ここで急いで契約する必要はありません。結露は毎年のことなので、シーズン中に慌てて決めるより、次の冬までに何社かに見てもらって決めるほうが、内容も金額も納得しやすくなります。

工事を考えるときの順番

断熱に関わる工事は、いくつも方法があります。全部やれば効果は大きくなりますが、費用も大きくなります。順番を考えたほうが現実的です。

結露対策に手を入れる順番を3段階で示した図。まず工事なしで湿気側を試し、結露が窓に集中している場合は窓から、壁や部屋の隅にも出ている場合は壁や天井も含めて相談する

窓から考えられることが多い理由

結露が窓に集中している場合、窓に手を入れると変化が分かりやすいことがあります。内窓(二重窓)は工事が1日で終わることも多く、壁を壊さずに済みます。

ただし、内窓は「効く家」と「あまり変わらない家」があります。すでに樹脂サッシや複層ガラスが入っている家では、変化が小さいことがあります。この見分け方は内窓は効果ない?二重窓が効く家・注意が要る家の違いにまとめました。窓を検討する前に読んでおくと、判断がしやすくなります。

窓を直しても壁が冷たいままのことがある

結露が壁や部屋の隅にも出ている場合、窓だけ手を入れても、そちらは残ることがあります。窓の結露は減ったのに、押入れや家具の裏のカビは変わらない、という形です。

どこが冷えているのかによって、手を入れる場所が変わります。「結露しているのは窓か、それ以外か」を先に確認しておくと、相談したときの話が早くなります。

補助制度は年度で変わる

断熱に関する補助制度は、国のものも自治体のものも、年度によって内容や受付期間が変わります。金額や条件をここで断定することはできません。

探すときは、お住まいの自治体のサイトと、国の制度の公式サイトを見るのが確実です。工事を依頼する会社が申請に慣れているかどうかも、聞いておくとよいところです。

壁の中で起きる結露について

結露は、目に見える面だけで起きるとは限りません。壁の内部で起きることもあり、こちらは表面結露と区別して内部結露と呼ばれます。

ただ、この話は不安を煽る材料として使われやすいところでもあります。「壁の中が大変なことになっている」と言われても、外から見て分かるものではありません。

落ち着いて考えるための整理を書いておきます。

  • 壁の中の状態は、表面を見ただけでは判断できません。断定する説明が出てきたら、何を根拠にしているのかを聞いてください
  • すべての家で起きているわけではありません。使われている材料や納まりによって条件が変わります
  • 気になる場合は、リフォームで壁を開ける機会にあわせて確認するのが現実的です。確認のためだけに壁を壊すのは、負担が大きくなります

訪問で「壁の中が」と言われたときの向き合い方は、屋根の場合と同じです。耐震診断の訪問業者は怪しい?「瓦が割れています」と言われたときの確認5つで書いた、「どこを見てそう思いましたか」と聞くやり方がそのまま使えます。

カビが出てしまったときの考え方

すでに出てしまったカビについては、掃除で対応することになります。ここは専門の情報にゆずりますが、建築側から言えることを2つだけ。

ひとつは、掃除をしても条件が変わらなければ、また同じ場所に出ます。この記事で整理した2方向のどちらかに手を入れないかぎり、掃除は毎年の作業になります。

もうひとつは、下地まで傷んでいる場合は、表面を拭くだけでは収まりません。壁紙が浮いている、押すとやわらかい、といった状態であれば、内装の張り替えを含めた相談になります。

湿気取りや除湿に使えるグッズについては、梅雨のカビ・湿気対策グッズ7選でまとめています。季節は違いますが、湿気を減らす道具という点では同じものが使えます。

なお、カビと体調の関係については、感じ方や状況に個人差があります。気になる症状がある場合は、医療機関に相談してください。

相談するときは、複数の会社に見てもらう

断熱に関わる工事は、家の状態によって方法も金額も変わります。1社だけの提案では、それが妥当なのか比べるものがありません。

見てもらうときは、聞くことを揃えておくと比べやすくなります。

  • 結露しているのは窓か、壁や部屋の隅にも出ているか
  • 手を入れる場所と、その理由
  • 工事をしても残る可能性がある部分
  • 使える補助制度があるか、申請は誰がするのか

とくに「工事をしても残る可能性がある部分」を先に聞いておくと、あとで「思ったほど変わらなかった」というずれが起きにくくなります。見積書の見方についてはリフォームの見積もりが高い?妥当か見分ける5つの視点にまとめています。

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よくある質問

結露防止シートや吸水テープは効きますか

水を吸って垂れるのを抑えるもので、結露そのものを止めるものではありません。窓枠や下の壁が濡れて困っている場合には役に立ちますが、貼ったまま放置すると、その部分が乾きにくくなることがあります。定期的に交換してください。

除湿機と換気、どちらがいいですか

どちらも「湿気を減らす」側の対策です。冬は外の空気が比較的乾いていることが多いので換気が効きやすく、梅雨どきは外の湿度が高いので除湿機が向いています。季節で使い分けるのが現実的です。

内窓を1部屋だけ入れても意味がありますか

その部屋の窓については変化が出ることがあります。ただし他の部屋の条件は変わらないので、家全体の結露がなくなるわけではありません。困っている部屋から順に、と考えると進めやすくなります。

賃貸でもできることはありますか

この記事の「湿気を減らす側」は、ほとんどが工事なしでできることです。窓に貼るタイプの断熱シートなども市販されていますが、原状回復の条件は物件によって違うので、貼ってはがせるものかを確認してから使ってください。

まとめ|自分の家がどちらの段階かを見分ける

結露は「湿気の量」と「表面の温度」でしか決まりません。だから打ち手も2方向だけです。

  • 湿気を減らす:換気を止めない/加湿を加減する/部屋干しは逃がし方とセット/家具を壁から離す/押入れを開ける
  • 表面を冷やさない:窓や断熱に手を入れる(=ここからは工事の話)

拭き取りはこのどちらでもないので、繰り返すのは当然です。掃除の頻度が足りないわけではありません。

まずは湿気側をひととおり試してみてください。それでも毎年同じ場所に出るなら、その場所が冷えているということなので、家の側の話に移ります。ただし急ぐ必要はありません。結露はシーズンが来れば必ず分かる現象なので、次の冬までに2〜3社に見てもらってから決めても、多くの場合は十分間に合います。

わらじ@家事パパ

30代、家事・育児・仕事の三足のわらじを履く共働きパパ。本業はリフォーム専門の工務店に勤める二級建築士で、築年数の経った住まいの改修現場に携わっています。家事ラクグッズから住まいのメンテナンスまで、暮らしをちょっとラクにする話をパパ目線でお届けします。

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